Vol.7 近代インドの聖者ヴィヴェーカーナンダの本との出会い
内垣先生の主催する大阪ヴェーダーンタ・ソサエティで知ったスワミ・ヴィヴェーカーナンダと いう近代インドの聖者について詳しく知りたいと思い、ソサエティの図書室に行ったら、フランス の文豪ロマン・ロランの著書、「インド研究」という本に、ラーマクリシュナとヴィヴェーカーナ ンダの伝記と教えが詳しく書かれていることを知りました。内垣先生にその話をしたら、「もし必 要なら、原価で持ち帰りなさい」と言われ、図書室に一冊しかなかったその本を、僕はプレゼント のような気分で購入しました。ロマン・ロランはドイツの文豪ヘルマン・ヘッセと親友で、同時期 に二人ともインド思想に興味を持ち、情報を共有しながら、ヘッセは「シッダールタ」という名作 を創作しました。
京都の安泰寺には週末によく座禅に通っていましたが、安泰寺に置いてあった仏教雑誌「大法輪」 の中の広告に、ヴィヴェーカーナンダの講演の日本語訳が「日本ヴェーダーンタ協会」という組織 から「生きる秘訣」というタイトルで出版されていることを知りました。僕の東京の友人の結婚式 に参加するとき、当時は渋谷の神泉(しんせん)という場所にあった「日本ヴェーダーンタ協会」を 訪れ、「生きる秘訣」を購入しました。
スワミ・ヴィヴェーカーナンダ(1863~1902)は、「全ての宗教は同じ目的を持ち、どの宗教も 誠実に実践すれば同じ結果に到達する」という事実を身を持って体験した師ラーマクリシュナの教 えを自らも体験し、アメリカとヨーロッパにその教えを伝えた伝道者でした。特にヴィヴェーカー ナンダは、欧米のキリスト教徒たちにも理解できるように、近代の科学的、心理学的な解説をして、 たくさんの聴衆を引き付けました。「生きる秘訣」には、カルマ・ヨーガ(行為を通じて完成する道) とギャーナ・ヨーガ(知識を通じて完成する道)の講演が日本語訳されていて、その内容の力強さと 崇高さに僕は圧倒されました。僕が 25 歳のときに知ったインドの聖典「ウパニシャッド」の教え、 「あなたはそれである」の本質が、現代的に分かりやすく説明されていたのです。ヴィヴェーカー ナンダの教えは、宗教を超えた全ての人類讃歌のように僕には感じられました。
僕が 10 代の終わりに初めてヨーガ・エクササイズと出会い、その体験に感動した意味が、ヴィ ヴェーカーナンダの教えを通じてより深く理解できました。人間に内在している生命の無限な可能 性に目覚め、この地上で自身の行為を通じてそれを表現すること、それを全ての生命と分かち合う こと、全ての生命の本質は歓びであること、それを実現することがヨーガの目的であることを、僕 はヴィヴェーカーナンダの本を通じて学びました。